黒染めシークレット
見た目は普通のチョコレートなのに。
「お、お前もか……」
「俺は別にそんなおっかないモン入れてねーよ」
ほっとしたのも束の間、
「でもまぁ、オイルは良くねえよな。あげといて何だが返してくれ」
どいつもこいつも俺を殺す気か!
「くっ……揃いも揃ってまともなものも作れねえのかよ」
本当にただ見ただけでは分からない。反射的にとはいえ言って正解、あのまま口に頬張っていたらどうなっていたことやら……
「まともですよ!」
「何処がだ!」
ダークファルコは突き出された小箱を受け取ってくすっと笑う。
「我々はある噂話になぞらえてチョコレートを手作りしたに過ぎませんよ」
うんうんと頷いて、ダークゲムヲが続ける。
「チョコの中に“血”を混ぜて意中の相手に渡せば両想いになれるという噂です!」
んなわけがあるか!
「血なんて薄気味悪いもんはこっちが願い下げだ。だから俺のは俺なりにアレンジさせてもらった。な? オリジナリティがあっていいだろ?」
「いいわけねえだろ!」
元々頭のネジが迷子の戦闘狂ばかりが集まっているとはライバル部隊の連中からも言われてきたことだし何となく自分でも思っていたのだが、こう、改めて目の前で見せつけられるとさすがに頭を抱える。
そうか、妹に夢中で忘れていた。俺はこいつらに溺愛されてるんだっけ。