黒染めシークレット



「りーだぁあああ!」 

背後、基死角より突進を喰らったのは直後のことだった。

「ぉあっ!?」

危うく落としてしまうところである。

何とか足を踏ん張って堪えたのでよかったものの。ほっと息をつき振り向くと腰にダークゲムヲが抱きついていた。繰り返し頬擦りをしてすっかりご満悦。

「んふふ、りーだぁー」

ハートの飛び交うのが目に見えて分かる。それをさりげなく手で払いながら、

「お疲れさん。今終わったんだな」
「そうなんだよリーダー!」

続けてひょっこり顔を出したのはダークロボット。

「今度の標的ってのが逃げ足だけはどうにも早くて苦労の連続、だがしかし」
「だがしかーし!」
「この俺から逃げられるわけがないっての! ちょちょいのちょいと」
「お茶の子さいさーい!」

合いの手を入れるかのようにダークゲムヲが拳を振り上げる。

楽しそうで何より。……まあやってることといえば法では裁けない罪人、未だ罪を問われない悪人に対するいわゆる始末屋といったところで。かっこつけではない。直接的な単語をオブラートに包み込んだ結果である。

「そんなことより!」

やれやれ今度はどうしたのか。

呆れたように見つめているとずいと差し出されたものがあった。スピカはきょとんと目を丸くする。それは可愛らしいピンクのリボンで飾った小包だったのだ。
 
 
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