黒染めシークレット



「ね、誰かからチョコ貰った?」

突然の質問にスピカは目を丸くして振り向く。

「いいからいいから」
「……貰ってねえけど」

カービィはにっこりと笑って。

「そっかぁ」

何が言いたいのやら。

「んじゃ忠告。女子からのチョコレートは貰わない方が賢明だよ」

頭上に疑問符が飛び交ったのは隣のルーティも同じだった。

「バレンタインだから」

ますますもって理解不能である。

差し出されたものをバレンタインだからと断るというのはどうなのだろう。努力を踏み躙るかのような失礼極まりない行為、正直いって気が引ける。

「相手の気持ちもそうだけどねえ。自分の体も大事にした方がいいと思うなぁ」


……は?


「“お兄さん”の経験上、ね。っま仕掛けたの僕だけど――」

ルーティがいない。

直後、ばちばちと電気の擦れる音に悟ったが時既に遅し。

「一応ちゃんとした理由とかあるんだけど、聞きたくない?」
「誰が聞くか歯ァ食いしばれええッ!」 
 
 
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