黒染めシークレット
「どうでしょう」
――言葉を失った。
「リーダー?」
愛を象徴したであろうこの形はともかく。ぱっと見一点の曇りも見当たらない白に近く仕上がったクリーム色。まさかホワイトチョコレートを使ったのか!?
「あっ」
パキッと中心に親指を置いて真っ二つに割ってみる。小さく声をこぼされたが気にも咎めず割れたチョコレートの欠片を摘まんで断面を凝視、赤みは確認できず。
希少なタイプだった。本当に、こいつは。
「……、」
何も入れて――
「にっが!?」
試しに口に運んでみればこれである。
「素材の味を殺さないよう慌てず騒がず且つ丁寧に真心込めて作りました」
「その才能をもっと別のことに生かしたらどうだ」
ホワイトチョコレートが苦いなんて前代未聞だぞ!?
ってこいつの場合、前科があるからその辺警戒するべきだった。ま、でも。
「……有り難く貰っとくよ」
馬鹿正直なところは相変わらず。
「ホワイトデー、期待してますね」
「上等だ覚悟しとけ」