愛のカタチ
冷静になれ。
「フォックス」
「平気さ」
不安げに後ろから呼び掛けるファルコにそう返して、フォックスはとある両開きの扉の前に立ち止まる。胸に手を置き、ゆっくりと呼吸をして心臓を落ち着かせ――
扉を、蹴り破る。
「ん?」
だだっ広いホールの中、今しがたタブーのメンテナンスを終えたマスターは聴診器を首に掛け、不思議そうに振り返る。
そう、ここは亜空間。クレイジーは遅れて振り返ると、目を細め、小首を傾げて。
「何? 不法侵入ってや」
「っ……お前達」
フォックスはかっと目を開くと。
「ルーティを、返せ!」
無駄に木霊するフォックスの声に、ファルコやその他付いてきたメンバーもやれやれと溜め息。事情を知らないマスターとクレイジーは共に顔を見合わせて。
「何の話?」
「成る程な……その足も腕とお揃いにされたいと……それはきっと不便だぞ……」
「いや落ち着けええッ!」