愛のカタチ
レイアーゼ都市、繁華街。
「ご協力、ありがとうございました!」
警官である男性は敬礼をすると、先程捕まえたひったくり犯をパトカーに乗せて。
「お疲れ様」
任務ではない。司令塔に出向いていたその帰りで、たまたま現場に居合わせただけだ。ルーティはパトカーを見送ると、ウルフを見上げ、にこりと笑って。
「ただのついでだ」
相変わらず素直じゃない。
さっさと歩き出す彼だったが、ルーティは小さく笑みを溢して、隣まで駆け寄る。
「ナイフとか持ってなくてよかったね」
「ふん。逃げ足だけは」
そこまで告げて、ウルフの狼耳が微かな音を拾い、動いた。立ち止まり、振り返ってみるがそこには行き交う一般市民だけ。
「……ウルフ?」
気のせいか。
遅れて立ち止まり、不思議そうに振り返るルーティにウルフは正面に向き直って。
「いや」
腑に落ちない様子で、歩き出した。
1/15ページ