愛のカタチ




レイアーゼ都市、繁華街。

「ご協力、ありがとうございました!」

警官である男性は敬礼をすると、先程捕まえたひったくり犯をパトカーに乗せて。

「お疲れ様」

任務ではない。司令塔に出向いていたその帰りで、たまたま現場に居合わせただけだ。ルーティはパトカーを見送ると、ウルフを見上げ、にこりと笑って。

「ただのついでだ」

相変わらず素直じゃない。

さっさと歩き出す彼だったが、ルーティは小さく笑みを溢して、隣まで駆け寄る。

「ナイフとか持ってなくてよかったね」
「ふん。逃げ足だけは」

そこまで告げて、ウルフの狼耳が微かな音を拾い、動いた。立ち止まり、振り返ってみるがそこには行き交う一般市民だけ。

「……ウルフ?」

気のせいか。

遅れて立ち止まり、不思議そうに振り返るルーティにウルフは正面に向き直って。

「いや」

腑に落ちない様子で、歩き出した。
 
 
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