子供じゃないもん!
直後のことだった。
「きゃあっ!」
突如背後から襲いかかってきた男に悲鳴を上げる。いとも簡単に手首を掴まれて封じられ、目の前にはまた別の男。ぞっとするような急展開に先程のカメラマンは変わらずニコニコとしていて、それがあまりにも不気味でいつの間にか恐怖と化して華やかな空気を残酷に、蝕んでいく。
「あれ」
カメラマンの男は首を傾げた。
「もしかして、まだ状況掴めてない?」
今更、嫌な予感が過った。振り払おうと腕を動かすが、成人男性相手では子供で、且つ女の子であるピチカが当然敵うはずもなく。
「あのね」
男はにっこりと笑った。
「キミみたいな背伸びした子供に街中で声をかけるのは僕たちぐらいなものだよ」
――子供。
「だってさっきはっ」
「いい加減、騙されてたんだって気付こうね」
そう話している間も少し距離を置いて囲うように、幾つかのビデオカメラが男たちの手によって設置、構えられる。これから何をされるか、はっきりとした情景が先走って脳裏に映り込むとピチカは焦りに声を上げて強く身を捩った。
「いやっ、」
捕らえていた側の男は舌打ち。
「――おとなしくしな」
ひんやりとした無機質の何かが首筋に当てられるとピチカは硬直した。
「可愛い顔に傷を付けられたくないだろ?」