子供じゃないもん!



物好きな男が現れた。

だって、僕の胸小さいんだもん。そりゃあ、関係ないかもしれないけどさ。それでも唯一誤魔化せない箇所を気にせず声をかけてきてくれたということは、ってさっきはショーウィンドウに夢中で背中向けてたじゃない。

だとしたら、髪型? それとも服がお洒落だったからかな?

「そうだよキミキミ」

その男性は人柄の良さそうな爽やかな笑顔を振り撒いて、

「思った通りべっぴんさんだねー」


眩しい。


「あはは可愛いねー」
「やっあの、これはそのっ」

ぼんっと頭の天辺から湯気が弾けて、顔が熱い。

「もしかして言われ慣れてない?」
「ははは、はい」
「へー意外だねえ。キミみたいな可愛い子が」

世の中の男子諸君は勿体無いことするなあ、とわざとらしくぼやく。

「そ、そんなこと……」
「よし決めた」

男性は手のひらの上にぽんと拳を置いて提案をする。

「キミの可愛さを世の男子に知らしめちゃおう!」

……ふえ。

「そ、それってどういう」

変わらない笑みで男性はさらりと答えた。

「ファッションモデルをしてほしいんだけど、引き受けてくれるかな?」

ふええぇええっ!? 
 
 
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