子供じゃないもん!
遠回しにお断りしているのだ。
ピチカがああ言うのは多分、僕がコスプレとかメイクで男子を可愛く飾るからだろうけど。僕に言わせてみればあれは“男だから”やってるようなものだし……
「ちょっと可愛い服を貸してくれるだけでもいいの!」
これだもんね。知ってた。
「髪とかメイクとか、それは自分で調べて頑張るから!」
必死に詰め寄るピチカにカービィは黙り込む。
「だから、」
「――向上心があるのは大いに結構」
……影が差した。
「でも服はあくまで引き立て役。着られるようじゃまだまだ子供」
お得意の意地悪い笑みを見せつけて、カービィは人差し指を立てて唇に添える。
「中途半端が一番嫌い。僕が大人にしてあげる――」
髪は下ろしてストレートに。甘酸っぱい香りのコロンを添えて。
白磁の肌にはほんのりナチュラルメイク。少女の淡い恋を絵に描くように、優しく柔らかく彩って。唇は桜色のリップでぷるんと愛らしく。
服はピンクベージュのレースワンピースにグレーのニットカーデで。守りたくなるコーディネートを提供したら、仕上げに鍵の形を模したネックレスを掛けて――
「こんな感じかなあ」
カービィは櫛をくるんと回して。
「どう? って苦情は受け付けないんだけど……」