子供じゃないもん!
“可愛い”は女の子にとって最高のスパイス。
砂糖のように振り掛ければ、おとぎ話に出てくるようなお姫様にだってなれちゃうんだ。お菓子みたいに甘い言葉は、女の子に魔法をかけてくれるんだよ。
……でもね。そんな魔法じゃ大人にはなれないの。
「むぅ……」
ピチカは部屋に篭っていた。
何も不貞腐れていたからではない。どう見返そうか思案していたのだ。
「可愛いのしかない……」
贅沢な悩みである。
クローゼットの中から取り出した様々な、中でもお気に入りで且つ黒を含めた落ち着いた色合いの衣服をベッドの上に並べてみたがどうもしっくりこない。
適当に手に取って鏡の前で合わせてみるが……髪型? 髪型がいけないのかな。
「り、」
呼ぼうと思ったがやめた。
……髪くらい、一人で結べるもん。
「うーん」
髪は下ろしてアイロンで伸ばせばそれっぽくなるよね。メイクは分からないから、まずはお洋服かな。でも、僕の頭じゃちょっと思いつかないかも。
「……そうだ」