大好きな君へ
「ルーティ!?」
玄関先で靴を履き慣らしていたところ、事態を聞き付けたフォックスが疾風の如く現れて。ルーティは振り向いて、
「あ、フォック」
「何処に行くんだ! そんな格好で!」
フォックスが指差した、ルーティの服装は正装で只事じゃない。確か今日は任務も何も入ってない、休みの日だったはず……
「いちいち騒がしい奴だな」
同じく正装のウルフはネクタイを緩めながら、フォックスを目に溜め息を吐いて。
「こいつは」
「聞きたくないっ!」
頭を抱え、額を壁に打ち付けるフォックス。落ち着けって、と宥めるファルコに苦笑を浮かべ、ルーティはウルフを見上げる。
「今日くらい、お前が決めろ」
ウルフはふいと顔を背けて。
「……じゃあ」
ルーティはかくんと首を傾け、にこり。
「一緒に、来る?」
「行く!」
即答だった。
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