マスターに御用心!
「はいっ!」
リオンは勢いよく手を上げて。
「どうぞ」
「優勝商品は何でしょうかっ!」
下心が丸見えだ。瞳をきらきらと輝かせるリオンに、マスターはふっと笑みを溢す。
「“マスターボール”だ」
マスターボール。
そのボールで捕らえられたポケモンは主人であるトレーナーから一生逃れられず、絶対服従と忠誠を誓わされるという。
「そらおもろいなぁ」
「地味に欲しいですね」
口々に呟くドンキーとリンク。
「くそ……っこの首輪、外れねえ……!」
大会を中止にしてやりたいのは山々だが、首輪があっては攻撃も出来ない。
が、さすがマスター特製の首輪。取れる気配が全くない。悪戦苦闘しているネロに、クレイジーはくすくすと笑みを溢す。
「嫌だよねぇ。一生、絶対服従なんて」
「くっ」
「取られたくないなら」
クレイジーの笑みに影が差して。
「全力で戦いな」
……黒い。