マスターに御用心!
「シフォン、どくのこな」
攻撃を仕掛けられるよりも先に、オリマーが告げるとシフォンは莟の飾りに手を突っ込み、掴んだ紫色の粉を撒き散らして。
「下がって!」
リオンは腕で鼻を塞ぎ、後退。
「平気!?」
「大丈夫だ、問題ない」
オリマーは腕を組む。
「シフォン、どくどく」
毒を与えて時間を稼ぎ、戦闘不能を期待する作戦に出たか。シフォンは革紐をぴんと張って小さく笑みを溢し、目を細める。
「変態わんこさん。貴方は首輪がよくお似合いね。おとなしく小屋に戻ったら?」
毒って。
「し、シフォン殿、そんな……!」
そういうリオンは嬉しそうで。
「あら。罵られてるというのに尻尾なんか振っちゃって、想像以上に下劣だわ」
「はう……っ!」
「いつまで経っても学ばないお馬鹿さんには、“駄犬”の言葉がお似合いよ」
「も、もっと」
「だからこれ何のバトル!?」