可愛いは正義!?



「ほ、他に」

スピカはふいと顔を背けて。

「……言うこと、ないのかよ」

微かに頬を赤らめているスピカに心臓が大きく鼓動し、抱き締めたい衝動に駈られる。そんなのは胸の内に仕舞い込んで。

「その……可愛いです、リーダー」

釣られて頬を赤く染めながら、遠慮がちに応える。スピカも小さく、頷いて。

「……おう」


なぁんだ。結局はそういうきっかけが欲しかっただけか。素直じゃないんだから。


スピカ。そんな格好をしなくたって、素直じゃなくたって君が愛しくて可愛いってこと、ダークシャドウの人は知ってるよ。

内に秘めた優しさに、気付いているから。

「ふふ……」

なんて、上手くまとめちゃったりして。

「なァにが“ふふ”だ」

ぐいと腕を引かれ、扉が閉まる。

「……あのー」
「腹を空かせた狼が」

ウルフは不適な笑みを浮かべながら。

「旨そうな獲物を前に、いつまでも“待て”が出来ると思うなよ……?」


だけどね、スピカ。


「いやああぁあ!?」


今度は絶対に付き合わないからね!



end.
 
 
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