はじめまして、自覚症状



所々が跳ねているが纏まりのある黒髪に肌は色白だけど健康的で。今日この日は通っていた学園の制服を着ているようだがそれが黒色ということもあって高身長も合わさりクールスタイリッシュに映し出される。掛けている黒縁の眼鏡が彼の長い睫毛を隠しているのが残念だが──

……何が残念なんだ。どうでもいいだろうに。

「遅くなってしまってすまない」
「、ぇあ」

予定より十分近く早い。

「拙者も今来たところで御座る!」

自室である。

「何処かに出かけていたのか?」

はっ。

「ああいや、……まあ、……とりあえず中に」

何を言っているんだ自分は。じわじわと羞恥心が込み上げてきて苦笑混じりに招く。ああもう。

早急に満足して帰ってくれますように──


カップルのデートといえば何も外出するばかりではなく互いの家にお邪魔して過ごすだけの家デートといったものも存在する。利点は雨風が防げるという点だが問題があるとすれば。

「……えっと」

話題である。

「な、何かしますか」

予め出しておいた円形状のローテーブルの前。互いに正座で向かい合うその姿勢は端から見ればお見合いそのものである。付き合っているのに。

「そうだな」

ジョーカーは少し辺りを見回してみて。

「お勧めの漫画はあるか?」
 
 
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