はじめまして、自覚症状
パックマンの部屋。
「珍しいじゃん」
訪れていたのはミカゲである。
「ま。最適解ってヤツ?」
へらへらと笑うパックマンがベッドの縁に腰を下ろしたミカゲの後ろで膝立ちになりながら何をしているものかと思えばなんと、髪を櫛で梳かして整えているのである。
傍らのワックスを手に取り伸ばして根本から手櫛で掬ったり毛先を摘まんだり──普段ならこうも好き勝手をされてミカゲも暴れないはずがないのだが今日ばかりは膝に拳を置いて大人しい。
それというのも。
イメチェンはミカゲ自らお願いしたからで。
「相手がジョーカーってのは意外だけど」
「……すみません」
「謝るなって。釣り合ってないとか言ってないし寧ろそれ気にしてオレんとこ来たんじゃん」
パックマンは小さく笑み。
「最高のデートになると思うけどね」
そう。ジョーカーとミカゲは付き合っている。
そして今日というこの日は。
初デートの日。
「何処でデートすんの?」
仕上げのスプレーを掛けながら。
「部屋」
甘酸っぱい匂いが仄かに、
「え?」
「拙者の部屋で御座る」
暫しの沈黙の後。
「今すぐオレに謝って」
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