こっち向いて男子!



ここは私が止めなくては。

一国の王女として? トライフォースの伝承者として?――いいえ。


主人に仕えるメイドとして!


「食堂内では仲良くしてくださいっ!」

ぱっとリンクとガノンドロフが振り返った。ゼルダは一気に緊張して、

「あ……じ、じゃないと……」

羞恥心はぐっと抑え込んで。拳を緩く握ってこめかみに添え、くいくいっ。

「ご奉仕します……にゃんっ」


ああ、本当にこんな方法で男子というものはおとなしくなるのですか……!?


「……あれ」

確かに剣の構えを解いたものの、ガノンドロフは表情に影を差し、リンクは頬を染めながら口を手で覆って双方顔を背けてしまった。それが決して不快な気分にさせたのではなく、己の言動によって悶えさせていただけだったなんて。

「ややややっぱり変でしたかっ!」
「へ、変じゃないです……」

慌てふためくゼルダが知る由もなく。


「ひっ!?」

サムスは後ろに手を回してばっと振り返る。

「さ、触ったわね……?」
「ええやん減るもんやなしに」

歩いていた彼女の尻をさりげなく触れたのはドンキーである。どんなに睨みつけられたところで頬を染め、羞恥に屈辱を感じて瞳を微かに濡らしているのでは。

顔のにやつきも止まらないというもの。
 
 
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