こっち向いて男子!
「って、何してんだよ!」
突っ込み役であるマリオ不在の今、暫し呆気にとられていたロイがどうにかせねばとようやく声を上げた。ピーチはふふんと笑って。
「メイド喫茶に決まってるじゃない」
――よく見れば食堂の家具は全てクラシックにまとめられている上にテーブルには白のテーブルクロスが敷かれ、オリジナルと思しきメニューが置かれてある。
徹底的だ。と、奥の厨房からとある人物が顔を出した。
「うええ助けてくださいよぉ!」
「ヨッシー!?」
コック服を着込んだ彼は今現在、調理中といったところだった。遅れてひょっこり顔を出したゲムヲとロボットは執事服を着せられている。ウエーター役か。
「案ずることはないわ。今日は特別に私たち女子が奉仕してあげようってだけ」
ピーチはすかさず付け加える。
「分かってるとは思うけど性的サービスは受け付けないわよ。もちろん苦情もね」
全く。これだからおてんばお姫様の思いつくことは。
……けしからん。
「はいはーい! 僕とメタナイト、二名様ご案内よろしくー!」
「なっ、カービィ!?」
メタナイトの腕をぐいと引いて、カービィは耳打ち。
「いいじゃん。こういう経験もたまには」
「め、メイド喫茶とは風俗の類だろう! 騎士道に反する!」
「えーやだかったーい。もしやあそこもお硬くなってたりして」
「カービィ!」
それを聞いたリオン、すかさずユウの手を取って。
「安心してくれ。私はユウにしか興奮しない……」
「貴様は興奮しないことを心掛けろ」