こっち向いて男子!



――エックス邸、正午過ぎ。食堂前にて。

「あれっ」

稽古を終えたロイはマルスやアイクと共に食堂を訪れたのだが。リンクを始めに、フォックスやソニックと何故か人だかり。これは一体どういうことだろう。

「お前、なんでサボってんだよ」
「言われるとは思いましたがそうではないですよ」

ロイの発言に小さく息を吐き出し、リンクは食堂の扉を見遣る。

「……ピーチがまた何か思いついたみたいです」
「そこでリンクを追い出したってことは」

マルスは腕を組んで。

「ターゲットは僕たちである可能性が高い……」

その時、食堂の中から首謀者の声が響き渡った。

「男子ぃー! もう入っていいわよぉー!」

さて。鬼が出るか、蛇が出るか。

まさか何もなかったと油断させておいて、料理の中に変な薬を入れてましたってパターンじゃないだろうな。腐女子のすることは侮れない。警戒しなくては……


「お帰りなさいませっ、ご主人様!」

――贅沢にフリルがあしらわれた膝より数センチ上のスカートにエプロンは肩からストラップを回し、ウエストで締めて細い腰のくびれを強調。脚はそれぞれのイメージにあった靴下やストッキングで際立てて、頭にはお馴染みホワイトブリム。

はてさて、これは一体どういうことか。食堂で待ち構えていた女子は全員、あのメイド服を着込んでいたのである。しかもあのメイド服、普通とは異なった作りで、あろうことか胸元をハートの形にくり抜いたデザインとなっている。

これがまた人によっては……目のやり場に困るのだ。
 
 
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