こっち向いて男子!



当然のことながらこれは商売ではなく娯楽、もっと言ってしまえばピーチの単なる思いつき兼暇潰しだが、それでも男子からの評判は上々だった。

「こういうのはお好きかしら」
「よ、よせって……」

腕を絡ませてはぐいと引き寄せ、たわわな胸を押し付けられればロイはだらしなく笑みをこぼした。ふふ、と妖艶に笑うその犯人は案の定シフォン。

「……ロイ」

はっと振り返ればマルスが頬杖を付きながら呆れたようにじっと見つめていて。

「いっくよー!」 

……この声は。

見れば、食堂の中央でカービィとピーチが向き合っていた。まさか、こんなところで今から乱闘というわけでもないだろう。それに、あの構えは。

「もっえもっえじゃーんけーん、」

カービィとピーチはぐっと腕を引いて。

「じゃーんけーん、ほい!」

――繰り出す。

そう。これはメイド業界でもお馴染みの萌え萌えじゃんけんである。勝った側に特典があるのかどうかは店によって違うが、ルールを決めたのは恐らくピーチ。

誰もが乗り気で参加するような、且つ彼女が考えそうなことは――

「はぁーいメイドさん? 負けに負けてエプロンから取ってもらおうか?」


脱衣。


「優しい男は嫌いじゃないわ」

が、さすがはピーチである。

「けど、お客様にサービスをするのがメイドよ……?」

一枚上手と見て取れる発言の後、両手をするりとスカートの下へ。

これはまさか――
 
 
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