こっち向いて男子!
「ねえ、サムス」
ピーチは言った。
「この屋敷にはホモが多すぎると思うのよ」
――それは雷が落ちるかの如く衝撃で。
且つ、今更すぎる発言だった。
「それがどうしたのよ」
「どうでもいいっていうの?」
ピーチはいつになく真剣な顔だ。
「確かに今更な話だわ。でも、男子が女子よりも同性に目がいってるっていうこの現状、やっぱりおかしいと思うのよ」
今日の彼女は何かおかしい。
その考えは確かに正しいのだが、だからこそおかしいのだ。彼女の意見はどう考えても今の現状、すなわち男子たちが蜜に溺れて交え、愛の咲き乱れるこの薔薇園を否定しているとしか……こういう表現も彼女の影響によるものだろうか。
「そこで思いついたのよ」
ああ、嫌な予感。有言実行、彼女の閃きは今日も誰かを巻き込むのか。
「私たちが女の魅力ってものを男たちに思い知らせてやろうって!」
巻き込まれた。
「どうするのよ」
「萌えは女子の魅力を最大限に引き出すわ」
サムスは溜め息。
「強制かしら」
「私一人がやったって茶番よ。そうと決まれば!」
そこまで言って、ピーチは瞳を輝かせながらテレビに見入る。
「あ、待ってラストスパートだわ。はあ……」
「朝からリビングのテレビ占領してBLアニメ観賞するのやめなさい」
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