春先の温もりは



「ぅ、けほ……っけほ……」

ったく。手間のかかる奴だな。

溜め息を吐き出して歩み寄り、布団を捲ってから隣に腰掛ける。咳き込むルーティを引き寄せて自分の足の間へ、途中までだったボタンを全て外して、脱がせる。

肌、白いな。相変わらず男の癖にすべすべだしぷにぷにだし、何なんだこいつ。

「っくし」

目的を思い出せ。

今のくしゃみで胸板へと伸びていた手を引っ込めて、ワイシャツを手に取る。

「手ぇ通せ」

ルーティは小さく頷いて、ワイシャツの袖に手を通す。反対側も通したところでボタンを上から留めていったのはいいが。

さっき、外気に晒したお陰で突起部分が強調してやがる。思わず見入ってしまったが、ふるふると首を横に振って回避。

……相手は病人だぞ。
 
 
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