春先の温もりは



二人で林檎を食べ終える頃には時刻は十時を示していて、ウルフはふと重要なことを思い出す。林檎の皮や芯を捨ててから、

「ルーティ。服を着替えろ」

汗を吸った寝巻きのままでは本人だって気持ち悪いだろう。ルーティが頷いたのを見て、ウルフはクローゼットを開く。

上は自分のワイシャツを貸してやるとして、下はこいつのでいいか。膝丈のズボンをルーティのクローゼットから勝手に取り出して、着替えを手渡そうと振り返る。

あっれー?

熱がぶり返したのか、ルーティはぼうっと宙を見つめていた。やめろ、何かがそこにいるみたいに一点に集中するの。

しかもこいつ、寝巻きの下にシャツを着ないタイプか。途中までボタンを外しているお陰で赤みを帯びた突起がちらちらと……

み、見るな自分。こっちまで熱くなる。
 
 
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