春先の温もりは



「具体的に言え」
「なぁに? 知りたい?」

にやにやしながら後ろから抱き付く彼を睨み、無言の圧力。釣れないなあ、とカービィはぱっと解放すると手を後ろに組んで。

「ま、無難に林檎とかかなぁ」

成る程。こうして話しながらちゃんと箸を進めていたウルフは、あっという間に朝食を済ませるとお盆を手に立ち上がって。

「風邪でも引いたとか」


ギクッ


ウルフは大袈裟に肩を跳ねさせ、立ち止まる。カービィは口元に笑みを浮かべて。

「宜しいならばお医者さんごっこだ」
「却下。てめえが病院に行け」

予想通りの阿呆を展開するリオンに助けられて、硬直が解けたところで台所へ向かう。空の食器を乗せたお盆を下げてから、冷蔵庫の前へ。……相変わらずでかい。

「……さて」

林檎くらい、あるよな。
 
 
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