春先の温もりは



「野良犬に餌をくれてやるなよ」

ぽつり、そう告げたのは近くに腰掛けて朝食を口にしていたユウ。漬け物(好きじゃない)を摘まんだ箸を今まさにリオンに向けていたが、それを引っ込めて自分の口へ。

それにしても、自分は食事を済ませて水だけを持ち帰るのは如何なものか。

目の前にいる阿呆に訊ねても、宜しいならばお医者さんごっこだとか何とか抜かしてコスプレさせたりしてきそうだし……

「なあ」

仕方なく、飼い主の彼に訊ねてみる。

「自分が風邪を引いたら、何食いた」
「知らん」

即答か。

「しっ白いお薬をごっくんしたいです」

誰だここに変質者セットしたの。

怪しく息を弾ませながら答えるリオンに、いい加減刺してやろうかとばかりに箸を構える。すると、代わりに答えたのは。

「僕だったら果物かなぁ」

カービィだった。
 
 
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