春先の温もりは



「ふぅん。ま、男の子だしねぇー」

馬鹿でよかった。

察したのかそうでないのか、ピチカは仕方なさそうに小さく息を吐き出してリムの元へ。……っと、忘れるところだった。

「はい、どうぞ」

さっさと朝食を済ませなくては。

リンクから朝食を乗せたお盆を受け取り、適当な席に腰を下ろす。箸を手に、さてどれから食べようかと考えていたその時。

「ひっ!?」

思わず、情けない声を上げてしまった。

仕方ないだろ。目の前のテーブルの裾からリオンがひょっこりと顔を出して、じっと此方を見つめていたのだから。

「……てめえ」

いつから、どうして、そんなところに。

あちらは見ているだけで幸せなのか、ほんのりと頬を赤く染め、ぱたぱたと尻尾を振りながらうっとりと此方を見つめている。

……気持ち悪い。
 
 
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