春先の温もりは
洗面所で顔を洗い、歯磨きを済ませてから食堂へ向かうと、珍しく食事をするタイミングが合ってしまったのか賑やかだった。
当然、厄介な奴らもいるわけで。
「ウルフ、おはよう」
早速来やがったか。
真っ先に声をかけてきたのはフォックスである。朝食を乗せたお盆を手に、きょろきょろと辺りを見回してから怪訝そうに。
「……ルーティは?」
ギクッ
こいつに本当のこと言ったら、風邪を引いたのはパートナーであるお前の管理が不届きだからだ、とか何とか責められるに決まってる。それはさすがに面倒臭い。
「ま……まだ、寝てる」
「そうなのか」
必死に目を合わせないようにしながら答えたが、何とかセーフ。ほっとしたのも束の間、次に現れたのは扱いづらいアイツ。
「だったら僕が起こしてこよっかなぁ!」