春先の温もりは
どうしよう。
冒頭からうるせえってか。だったらこっち見てんじゃねえよ。こちとら参ってんだ。
「っは……っは……」
未だにベッドの上で寝たきりの自分のパートナーである彼、ルーティは辛そうに顔を歪ませ、喘いでいる。なかなか起きないと思って布団を捲ってやれば、これだ。
ルーティの額に左手を乗せてみる。比べてみるまでもなく、熱い。時々咳き込むこの症状、彼は間違いなく――風邪。
「ちっ」
舌打ちをして、ベッドの縁に腰掛ける。
病気とは無縁の餓鬼だと思っていたが、遂にやられたか。この頃は肌寒かったしな。
「……食欲はあんのか」
「っ……は、……水、欲しい……」
どうすりゃいいんだよ。
スターウルフにだって突然風邪を引くような馬鹿は……ああ、猿がいた。いや、それはそうとして面倒なことに変わりはない。
「待ってろ」
看病くらいしてやるか。
ウルフはルーティの頭の上にぽんと手を乗せると、一言そう告げて部屋を出た。
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