言葉がなくても



幸い、ペンで迷うことはなく。

「ありがとうございましたー」

会計を済ませて文房具屋を後にする。

さて帰るかと思ったが刹那、ゲムヲは全く反対の方向へ。向かった先にはアイスクリーム屋さん。おい、こいつ何歳だ。

ショーケースの中のアイスをじっと見つめている辺り、買う気満々だ。全く、春先はまだ寒いというのに。これだから子供は。

……何歳だっけか。

「買うならシングルにしろ」

あまり大食いではないし、ダブルだと二つ目を食べる頃に力尽きる。念のため、アイクが伝えるとゲムヲは小さく頷いて。


結局、彼はカップに入れた一番小さいタイプのバニラを購入した。近くの公園に立ち寄り、共にベンチに腰を下ろして。

プラスチックのスプーンでバニラを少しだけ掬い、小さく開いた口に運ぶ。こうした単純な一連の動作が、何となく可愛くて。
 
 
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