言葉がなくても
暫くして、目的の文房具屋に辿り着く。
自動ドアが開き、ゲムヲは真っ先にスケッチブックが並べられた棚へ。こういった場所は初めてなのか、アイクはゆっくりと辺りを見回しながら後を追いかける。
早速スケッチブックの並べられた棚の前に立ち、悩んでる様子のゲムヲ。アイクは屈み込んで下の棚のノートを手に取ると。
「サイズはこれくらいか?」
大きすぎるよ。ゲムヲは首を横に振る。
「……こっちは」
微妙かな。ゲムヲはうーんと首を捻って。
だったらこれがいいんじゃないか、とアイクは同じサイズのスケッチブックを五つほど手に取って差し出す。ゲムヲは微笑を浮かべて、素直に受け取ると。
「ん」
ペンの並べられたコーナーを指差した。
アイクは頷き、ゲムヲと共にそちらへ向かう。一方の店員らは顔を見合わせて。
「静かなお客様ねぇ」
「五月蝿いよりはいいけど、ねぇ」