狼の休日
確か、リオンと一緒に散歩ということで出ていたはずだ。首輪とリードを付けた状態のまま屋敷を飛び出すとは思えない。
「って、ユウ!?」
食堂を出てすぐの廊下で膝を抱えていたのは、あのユウだった。第一被害者か。
「何も聞かないでくれ……」
ルーティが声をかけようとすれば、ユウは膝に顔を埋めてしまった。服が乱れている辺り、確実に何か屈辱を受けたようだ。
「えーと」
「お前はそいつを頼む」
同じ狼として、許せる光景ではない。
見れば廊下には他にも被害者らしきメンバーが倒れていたり、うずくまっていたり。
「う、ウルフは」
「同族の恥だ。少し懲らしめてやるだけ」
そう告げて走り去るウルフの背中を見送りながら、ルーティは苦笑を浮かべて。
「“少し”ね……」
――かなり怒ってたけど、大丈夫かな。