狼の休日
――あれ、リンクだよな。
ウルフは食堂での食事を済ませても、ずっと椅子に腰掛け、考えていた。
これでも、犬科の動物の話していることが分かるのだ。なのでさっきの狼の口調からして、リンクじゃないかと疑っていた。
確実にそうだとは言い切れないが、今朝から奴を見かけないのは確か。それにあの狼はリンクと同じ、嫌な感じがする。
「ね、ウルフは見に行かないの?」
そう訊ねてきたのはルーティだった。
「別に。興味なんざねえ」
「せっかく可愛かったのに……お利口だったよ? 狼なのにさ、おとなしくて」
ウルフはふいと目を逸らして。
「同じ狼なのに可愛くなくて悪かったな」
「えっ」
そういう意味じゃなくて、と慌てふためくこいつは放置。とりあえず、あの狼の正体だけは個人的に確かめておきたい。
ウルフは立ち上がって。
「行くぞ」