狼の休日
「ところで今、どんな気持ちですか」
最悪です。
鼻をふんと鳴らして答えてはみるが、彼には聞こえていないだろう。此方は言葉にしたつもりでも、声になってないのだから。
……いや、だとしたらどうして彼はあんなにも幸せそうな顔で訊ねてくるのか。
「リアル犬プレイなのだな……」
先導するようにご機嫌で前を歩いていたリオンは立ち止まると、振り返って。
「リンク殿」
――やっぱり、聞こえてたんですね。
ここでも、思っていたよりも冷静な自分がいた。そういえば彼はいくらポケモンといえど“犬”だし、公にはしないが心を読む便利な能力も持っている。
とはいっても、本当の意味で狼の体では彼にメリットは薄い。一応、訊ねてみる。
何が目的ですか、と。
「今は狼、最終的には人間……」
リオンはぐっと拳を握って。
「過程があるのなら、私はケモ耳リンク殿を希望する! そ、そして抱いてくださ」
「犬に発情するな」
さりげなく付けてきていたユウがリオンを踏みつけた。