狼の休日



その時、視線を感じてふっと顔を上げた。

離れた席で食事をしていたウルフが手を止め、見つめていたのだ。ぱちっと目が合った途端、逸らされてしまったが。

「名前は付けたのか?」

痛みが引いて復活したリオンが目の前に屈み込み、顔を覗き込んでいた。

「トゥーン、お前が決めろよ」
「え、俺が?」
「お前が見つけたんだろ」

そう言われても、とトゥーンは困ったような顔で腕を組んだ。すると、リオンは懐からさっと首輪とリードを取り出して。

「……トゥーン殿!」
「な、何だよ」
「彼の散歩をしてみていいですか!」


えっ?


どうしてこんなことになったのか。

首輪とリードを付けられ、リオンに連れられるがままに屋敷内を散歩中。

狼の姿といえど、これは恥ずかしい……
 
 
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