狼の休日
「知らなかったようだな」
「だから説明しろと」
「私がガノリン推しだということを!」
拳骨。
「説明しろ」
「ああっ、冷ややかな瞳……!」
リオンは腰をくねらせて。
「……その、リンク殿を狼の姿にした犯人はガノンドロフ殿だったらしいな」
たん瘤に銃口を突き付けられ、おとなしく真実を語るリオン。ウルフは銃を下ろすと、改めて室内を覗き込んで。
「目的が読めないな」
「こうなるのが目的だったのでは?」
リオンはくすっと笑って。
……確かに、料理だの洗濯だのと休む暇がなかったリンクが、今は。遊び疲れたのだろう、すっかり眠りこけてしまっている。
「らしくないことをしやがる」
「よいではないか。……たまには」
こんな休日があっても。
「でも、何であんな中途半端に」
「それは、多分」
暫く眺めていると、ガノンドロフはリンクの尻尾に触れ、根本をぐっと握って。
「ひぎっ!?」
あれは痛い。
「主従プレイだな……!」
「こっちが目的だったんじゃねえのか」
やはり魔王。侮れない。
end.
12/12ページ