狼の休日
リオンに言われるがままに腕を引かれ、やって来たのは書斎部屋。いや、本の充実さや広さから図書室とでも言っておこうか。
ここに何があるのかは知らないが、リオンは部屋の前まで来ると腕を解放して。
何故か戸が少しだけ開いている。
その隙間から覗けとばかりに指差されて、ウルフは怪訝そうにしながらも静かにそっと覗いた。……そこで見つけたのは。
「襲いたくなる可愛さだろう!」
リオンは頬を両手で包んで。
――そこには、椅子に腰掛けてテーブルの上に伏せ、眠りこけているリンクの姿があった。今度は正真正銘、人間の姿で。
が、彼の頭には大きな狼耳と尻には尻尾が残っていた。……名残だろうか。
驚いたのはそれだけではなかった。
「おい、説明しろ」
「ケモ耳は私的に点数が高いぞ!」
「ちげえよ。……何であいつがいる」
無防備に眠っているリンクの隣には、なんと、ガノンドロフの姿があったのである。