とある男子の恋愛事情
――どうして仲良くしたいんだよ。
眉を顰めたディディーの頭の中で、先程のスピカとのやり取りが脳内再生される。
――付き合いたい……つーか。
しまった。
あの発言が余計だったのだ。スピカとダークウルフの表情から察するに、勘違いをしている。好きなのはピチカの方なのに。
「や、あれは……っち、違うんだって!」
両手を振りながら引き攣った顔で否定するディディーに、ダークウルフは歩み寄ろうとした足を止めて、目を細める。
「俺達が好きなのは!」
「そうっ、スピカ……お兄さんの」
妹の――
「身体、だったりして」
どっから生えてきた!
余計なところで語尾に音符を付けて口を挟んできたのは、ダークフォックスである。
それがまた絶妙なタイミングだったお陰で、まるで二人が“スピカの身体目的に仲良くしようとしてる”ような文となり、黙っていたダークウルフの耳に届いて。