とある男子の恋愛事情
「ふ、ふん。勝手にしろっ」
ほんのりと頬を赤く染めながら、顔を背けるスピカ。勝手にしろ、ということは彼なりに歓迎してくれているってわけで。
「はいっ、頑張ります!」
まずはステップその一、クリアか。
ディディーとトゥーンはぱあっと表情を明るくして顔を見合わせると、胸の前で両手の拳を握って。彼らの無邪気な笑顔を横目に捉え、スピカは小さく息を吐き出す。
「付き合いを前提に仲良くしてくれ、か」
ギクッ
ぽつりと呟いたのはダークウルフである。
ディディーとトゥーンは大きく肩を跳ねさせ、冷や汗をたらり。ダークウルフの表情には何故か影が差していて、トゥーンは嫌な予感が過り、ディディーを小突く。
「お、おい……」
「何だよ」
「俺達、さっき何て言った?」