とある男子の恋愛事情
「……で?」
当然の反応である。冷気の如く冷たい視線を浴びせられ、揃って思わず息を呑む。
しかしここで諦める訳にはいかず、ディディーとトゥーンは力強く踏み出して。
「だから是非っ」
「俺達と!」
大きく息を吸ってから。
「仲良くしてください!」
長い沈黙が訪れて、ディディーとトゥーンは互いの視線を交わす。さすがに無理矢理過ぎただろうか、なんて思っていると。
「どうして仲良くしたいんだよ」
腕を組みながら訊ねるスピカ。
確かに、出会い頭に仲良くしてくれとせがまれても全く理解出来ないだろうが。
物事には順序がある。自分達の最終的な目標なんて、そんなのは端から決まっているのだ。――スピカの妹である、ピチカと。
「付き合いたい……つーか」
「い、言わせんな恥ずかしい」
頬を染めながら顔を背ける二人。
思わず本心を口にしてしまったが、ピチカの名を出していないのでとりあえず殴られることはないだろう。――だがしかし。
この半端な発言がとんでもない誤解を生むことになろうとは知る由もなく。