とある男子の恋愛事情
ここはエックス邸。
「確認する。俺達の好きな人は誰だ?」
草むらの影に隠れ、真面目腐った顔でこそこそと話すのはディディーである。
「何だよ。藪から棒に」
トゥーンも声を潜めて。
「質問に答えろ」
「んなの……ピチカに決まってんじゃん」
心の底から純粋で、優しくて、とにかく可愛い。守ってあげたくなる理想の女の子。
答える直前、頬を微かに赤らめては顔を背けるトゥーンを横目に、ディディーは腕を組みながら「その通り」と頷いて。
「って、いきなり何なんだよ」
「俺は今から重要なことを言おうと思う」
トゥーンはごくり、息を呑んで。
「……で、どういう」
涼しい風が吹き抜けて、草木がざわざわと音を立てる。妙な間が緊張感を煽り、トゥーンはディディーの次の言葉を待って。
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