偽物じゃなくて



俺が、リーダーに……恋?

「だっだが」
「自分が戦闘の為に造り出された兵器だからって、そういうの無いと思った?」

ずばり。

ダークフォックスに言い当てられて、ダークウルフは口を閉じる。さっきから食事が進まなくて、朝食も冷めている。

「兵器兵器っつってっけど、所詮は例え」

ダークフォックスはにやり。

「俺達、人間なんだよ。結局は」

まさかそんな台詞が返ってくるとは。

しかもダークフォックスの口から……ダークウルフは暫く黙っていたが、朝食の味噌汁をぐいと一気に飲み干してしまうと。

「……初めは、無感情だっただろ」

ぽつり、呟く。


より完璧な強さを目指して。

数えきれないほどの戦闘を繰り返し、鮮血を浴び、この足にすがる人間を見てきた。

非情に。冷酷に。命乞いをする人間さえ余すところなく、この手で葬ってきた。


自分が、本物以上の偽物である為に――
 
 
3/8ページ
スキ