偽物じゃなくて
分からない。この気持ちの正体が。
「ん……」
楕円形の睡眠用カプセルの中で眠っていたダークウルフは、ゆっくりと瞼を開いて枕元のデジタル時計を確かめた。
午前、五時丁度。
セットした時間になると、どんなに疲労困憊した状態でも体が勝手に覚醒する。
が、同じ状況下で普通の人間がこの中で眠ったとしても、効果は得られない。何故ならこれは、彼らダークシャドウの為だけに造られた特別なカプセルなのだから。
カプセルの蓋が開き、床に足を下ろす。
同室にあるベッドの上には、ダークシャドウのリーダーを勤めるスピカの姿があった。もちろん、彼はまだ眠っている。
そんなのは分かりきった情報だ。ダークウルフは立ち上がると、そっとベッドに忍び寄り。静かに、ベッドの縁に腰掛けて。
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