せんせい!
「いたっ!」
玩具を取り上げ、溜め息混じりに立ち上がる。振り向き、それまで泣いていた男の子に玩具を返そうと差し出した、その時。
「せんせぇがたたいたぁあ!」
思わず、肩を跳ねさせる。
今度は先程打った男の子が泣き始めたのだ。玩具を取り戻した男の子も、まさかの展開に不安げにウルフを見つめている。
「ばっ、男が泣くな!」
「うわぁああん!」
くそ、さっきと何も状況が変わってねえ。
ウルフが頭を悩ませていると、珍しく自ら歩み寄ってきた人物がいた。エプロン姿が最も似合わない男、ガノンドロフ。
「ふ、っ……!?」
自分を覆う影が出来れば男の子も泣き止んで、振り返る。ガノンドロフはその男の子を見下ろしていたが、ふと、玩具を取り戻した方の男の子に視線を移して。