せんせい!



何はともあれ、怪盗は去ったのだ。

そろそろ頃合いなので、幼児達を昼寝させることに。慣れない絵本を読んだり、寝かし付けようと手を添えてやったり――

「ぐー……」

ってお前らが寝てどうする。

「ったく」

床に布団を敷き、幼児達と仲良く添い寝しているクッパとデデデを横目に、ウルフは溜め息。ちなみに彼は現在、壁に凭れて煙草を吹かせながら座っている。

「けむたい」

不意に突っ込まれれば、小さく舌打ちをし煙草を灰皿に押し付けて。隣に腰を下ろしてきたのは、あの男の子である。

「んだよ」
「……あの」

男の子はウルフの服の裾を握り、

「……あり、がと」

ぽつり。

「ちっせえ声だな」
「む」

せっかくお礼を言ったのに。

唇を尖らせる男の子に、ウルフはぽんと頭の上に手を乗せる。そのままぐいと寄せて、優しく髪を撫でてやりながら。

「もう寝ろ」

男の子は小さく頷く。微笑を浮かべて自ら寄り添い、擦り寄って。口を、開く。

「せんせ……また、きてね」

――これだから、子供は。
 
 
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