恋愛ナルシスト
「……なんだそれは」
ぽつりとこぼれた言葉にびくっと肩が跳ねた。
「聞こえにくいものは答えにくい」
「なっ――」
じゃあお前が言ってみろと返すより先に。
ぐいと引き寄せられたかと思うと。
「お前が好きだ。……パック」
胸の中。
「付き合ってください」
くそぉぉぉ……
「け、敬語とか狡いし」
体の力が抜ける。
「ムカつくし」
隔てていた壁が崩される。
「返事は?」
心臓が五月蝿い。今にも崩れ落ちそうな中。
「よ、よろしくお願いします……」
恋愛なんて。
「お前がここまで恋愛ベタだったとはな」
「だ、だってオレ、モテるし。告白なんてしなくても、勝手にしてくるし」
パックマンは未だ顔を上げないまま答えた。
「本気かどうか聞かないんだな」
「……オレが本気で付き合ってやるとでも」
「顔を上げてみろ」
「絶対にイヤだ」
仕事が頑張れるのも。やきもちを焼くのも。
「いつまでそうしているつもりだ」
「仕事とオレ、どっちが大切なんだよ」
「……論より証拠だろう」
「ちょっ」
……顔が熱い。
end.
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