恋のライバル
「っにすん」
男同士のタイマンに手出しは無用。
両方がそう思っていたのか、声を揃えてその少女を見遣る。――そして、固まった。
「喧嘩は駄目! 同じX部隊でしょ!」
「何の騒ぎよ、ピチカ」
腰に手を当ててぷくぅっと頬を膨らます少女、ピチカの元へ歩み寄ってきたのは、ドンキーもリンクもよく知っている人物。
「リム!」
「あら」
ドンキーとリンクが声を揃えると、リムは二人に気付いて肩を竦めて笑い。
「久しぶりね。元気してた?」
「そらもうぴんぴんやで!」
ドンキーは腕を捲り、己の筋肉質な二の腕を晒しながら笑って。何一つ変わっていないドンキーの言動に、リムは懐かしそうに顔を綻ばせる。
「それより、何かあったの?」
どうやら、こっちに来たのはピチカが喧嘩に気付いて飛び出したかららしく。
リムは追いかけてきただけだったのだ。
「それが……」
リンクは苦笑混じりに、先程まで喧嘩していたディディーとトゥーンを見つめて。