恋のライバル
よく見てみれば、リンクの後ろに少年が一人、隠れている。リンクは少々強引だが引き剥がし、ぽんと背中を叩いて。
「ほら、自己紹介」
少年は視線をさ迷わせていたが、ディディーの視線に気付くと背筋を伸ばして。
「トゥーンリンクといいます。よろしく」
自己紹介終了。
少年、トゥーンは腰に手を当てそっぽを向きながら、短く息を吐き出し。
「弟?」
「いえ。まあ、兄弟みたいなものです」
どうやらディディーよりも、彼は人見知りをするらしい。リンクは頬を人差し指で掻きながら苦笑、トゥーンを見つめて。
「ふぅん。ま、ええか」
ドンキーはちらりとディディーを見遣る。
仲良くしてやれ、の合図。人付き合いが特別苦手なわけではなかったディディーは素直に従い、トゥーンに歩み寄って。
「……よう」
子供らしく、愛らしい笑みで。
「これからよろしくな。……トゥーン」