おにゃのこ祭
「はぁーい。男子諸君」
ルーティは朝目覚めて、愕然とした。
……扉が開かないのである。直後、無線機から聞こえてきたのは陽気なピーチの声。
「まずはおはよう、とでも言っておこうかしら。ふふ、扉のことはお気付き?」
ルーティは隣にいるウルフと顔を見合わせる。ウルフは扉を片手で軽く叩き、蹴り破れないのだと短く息を吐き出し、伝えて。
「どういうつもりだ!」
声を荒げたのはファルコである。
まあまあと宥めるフォックスの声を無線機が拾い、ルーティはこの事態に巻き込まれているのは自分らだけではないと察して。
「あら。お忘れかしら? おバカさん」
ファルコの声に嘲るようにして応えたのは、ピーチではなくシフォンで。
「三月三日! 分かるよねっ?」
この舌足らずな声は、ピチカ。
そして三月三日といえば――女児の幸せを祈る伝統的な行事。桃の節句、雛祭り。
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