馬鹿と魔王と願い事
「クッパ?」
リンクが声をかけるのも無視して、クッパは短冊と筆ペンを配っているゼルダの元へ駆け足で向かっていた。
「た、……短冊っ!」
「え? だってさっき書いて」
「短冊! 筆ペン!」
クッパの勢いに圧倒されるがまま、ゼルダは短冊と筆ペンを渡す。クッパはその場で、さらさらと願い事を書き込んで。
「……よし」
同じように、名前は書かなかった。だけど、今度こそ納得いく内容だった。
クッパはリンクの元へ戻ると、短冊を胸に無理矢理押し付けて。リンクが疑問符を浮かべる中、駆け足で立ち去る。
「……何て書いたんだよ、あいつ」
そこへやって来たのはマリオである。
リンクは胸に押し付けられてしまっていた短冊を手に、二人して内容を確認する。
「……マリオ」
「何だよ」
「叶いますよね、きっと」
二人は顔を見合わせ、笑った。
一方、此方はエックス邸の屋根の上。
「やはり此処だったか」
屋根の上で座っては夜空を見上げるガノンドロフを見つけて、クッパは声をかける。
ガノンドロフは黙っていた。
「変な願い事だな。……その」
クッパはガノンドロフの隣に座りながら。
「悪くなかった」
――参考にしました、なんて言えない。
クッパはそれ以上何も言わなかったが、ガノンドロフも問い質そうとはしなかった。
「おっ」
流れ星。……願いは、叶うだろうか。
end.
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