馬鹿と魔王と願い事



「書けましたか?」

背後から唐突に声をかけられ、クッパは大袈裟に両肩を跳ねさせては、振り返る。

そこにいたのはリンク。ちょうど、他の者達の短冊を飾るところだった。

「きっ貴様には関係のないことだ」
「ちゃんと見てます? 飾るのは俺の仕事ですから、関係ないはずはないんですが」

にこやかに言葉を返され、クッパは言葉を詰まらせてそっぽを向く。そしてリンクが飾った短冊を、覗き込んで。

「本人は」

リンクも後ろから覗き込みながら。

「別に叶わなくていいから、名前は書かないって言ってました。恥ずかしがりですよね。……誰のか分かりますか?」


――『平和がいい』。


たった一言。それ以外に付け加えられた様子はなく。クッパは、目を見開いた。

誰が書いたか、分かった瞬間。
 
 
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